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木曜日の午後2時過ぎ、診察の休憩時間にインタビューにお邪魔しました。
「勝手口からですいません。こちらへどうぞ。」と案内されたのは、勝手口の横にある部屋。開いていた扉の奥の方に見えるのは、茶色のレザーの大きなソファーセット。そうして、次に目に入ったのは、入ってすぐのところにあるラックにはLP版レコードがギッシリ詰まっていました。
「ご自宅部分ですか?」と質問すると、「いえ、ここでスタッフとミーティングや勉強会、打ち合わせもするんですよ!」というお返事。
中に入ると、20帖はあろうかという広いお部屋には、ウッドベースや大きなスピーカー、ステレオセット。そうして、なぜか日本酒の一升ビンが並んでいました。ジャズが趣味だとお伺いしてはいましたが、これほどまで?と正直ビックリ。
「お酒は、夜、友人たちとここで飲みます。あの「十四代」っていうおさけが旨いんですよ!あっ、スタッフとは飲みませんよ。中にはお酒が好きそうなスタッフもいるんですがね。居ついてしまうといけませんから!(笑)」と、ちょっとおどけたように笑う顔には緊張が無く、インタビューする私の方が緊張気味の中、インタビューが始まりました。
はい。ご覧になっていただいているのですか?ありがとうございます。好きなことを書けばいいので、気が楽ですね。スタッフも患者様宛てのかしこまった文はちょっと考えないといけないようですが、ブログは書けるようですね。あれはいいですね。スタッフの事も分かりますしね。かえって素が出ていいですよね。
松浦歯科のブログ「デンタルスタッフのオフタイム」はこちらから >>
親に洗脳されたのか(笑)、他の道も考えずに歯科医になりましたね。医局に 4 年在籍し、その後、クリニックに入ったわけですが、実際になってみて“向いてるな〜”と思ったんですよ。歯科医というのは、マニアックな仕事なんですが、それが好きだなと(笑)。
患者さんと接するもの好きですし、治療しているのも好きなんです。 ホームページ に書いてあるのでジャズ好きな人は話しかけてくれることもあって、診察中でもその話題で盛り上がる事もありますよ(笑)。
ドクターにもいろんな人がいますが、 50 歳すぎてくるとだんだん治療から遠ざかり、経営者になる人が増えてきます。でも、私は受付に書いてあるように 80 歳まで現役でいたいと思っています。治療はできなくても、診察室にはいたい。今の親父みたいにね。(笑)
親父は昔からの患者様が来ると、二人で話していますよ。内容を聞いていると、笑える時もあるのですが、同じ年齢の人にしか伝わらない事もありますから。患者様には安心なようです。
やはり患者様に喜んでいただけた時でしょうね。矯正歯科もしていますので、「きれいになって嬉しい!」と言ってくださった時や、ご高齢の方が「噛めるようになったよ!」と報告してくださる事ですね。当院では定期健診に訪れてくださる患者様が多く、“噛めるようになったから、太って困るわ〜!”と笑って話してくださった方や、「カミソリが入っているみたい、先生、噛めますよ!」と表現された方もいました。
ご高齢の方は、人との違いから「あら?」と自分が噛めていないことに気づかれることが多いのです。そうして、来院される。今まで噛めていなかったのが、治療や入れ歯、インプラントをすることにより、いきなり噛めるようになるんです。嬉しいでしょうね!
また、矯正している子供たちは毎月調整にやってきます。その子供たちの成長を見るのも楽しい。本当に仲良くなれますよ。
以前家内は、コミュニケーション手法として“親業”を学んでいました。それは親子の対話ということで、理解できたのですが、“コーチング”は人対人のコミュニケーション・・漠然としていて、正直よくわかりませんでした。今も分かっていないかもしれません(笑)。
歯科医院内にコーチングを導入したのは 2004年6月です。ISO導入と同時期に始めたのですが、この件でも上手く機能しました。まず、事務長が“個人ミーティング”からスタートしました。そして、以前から行っていた月 1 回の全体ミーティングの中でも、事務長がコーチングスキルを使ってファシリテーター役となり、会議の進行を行うようになりました。
それまでのミーティングは、経営者側からの「こうします」「これを、勉強してください」という“伝言”でした。そう一方的だったのですね。それが最近では、私のしゃべる頻度が少なくなりましたよ。口を出そうとすると、事務長に止められます。内心はもっとしゃべりたいんですがね(笑)。
はい!実は、歯科の臨床研修医制度が今年から変わり、 1 年間の研修が義務付けられたので、今年初めて受け入れ先となる研修施設に登録しようと申込みました。そうしたら、なんとその講習会が“ワークショップ”だったんですよ!私はワークショップ初体験です!そうして、家内が使っているコーチング用語がバンバン出てきたわけですよ!
その講習会の中で内容というのが、集まった歯科医たちが 7 〜 8 人のグループになり、研修医の育て方を自分たちで考えてプログラムを組んでいくという形のものだったのです。答えが無いんですよ。
「これこそ、コーチングだ!」と驚きました。こんなところで出会うとは!です。思わず、お昼休みに家内に電話してしまいました(笑)。
そうして、進行の方が「今日は同じ土俵の上で発言していただきたいので、年齢も関係なく、○○先生ではなく、○○さんと呼んでください」という注意も印象的でした。やはりその前提が必要なんでしょうね。後で人から聞いたのですが、驚いたことに私のグループに、歯科医師会の役員をされている方がいらしたようなんですが、全く気づきませんでしたよ。
ですが、中には最後まで、戸惑っていらっしゃる方、また受け入れられない雰囲気の方も見受けられましたが、これから徐々に広まっていくのでしょうね。研修医に教えるドクターは、がんこドクターではなく、コミュニケーションが取れないと・・という意図でしょうね。
結局、 3 名の研修医の方が大学での面接に来られましたが、皆さん、当院がコーチングやISOを導入されているというところに興味を持たれての応募だったことも驚きでした。
その内の一人が今来てくれているのですが、この研修医の人にもどんどん成長して欲しいと思っています。自分が持っている技術や知識は全て伝えようと思っています。そんなことも好きなんでしょうね。楽しいです。
はい。まず、患者様やスタッフとのコミュニケーションで気をつけています。これまでは、人の話を聞くと、自分の意見を言いたくて、途中で話をさえぎってしまうことがあったようです(笑)。それを家内に指摘され、最近やっと話を最後まで聞けるようになりましたね。いえ、正確に言うと“相手が話し終わった”のが分かるようになりました(笑)。
相手の話の途中に自分の意見が沸き起こる・・・ブロッキングというのですよね?
先日、家内の講座に出てみて思ったのですが、コーチングの手法としては普遍的なものであると思うのですが、実際に患者様との場面に生きてくると、今まで漠然としていたものが突然、具体的なもの変わったんですよ。きっとコーチングというものは、専門性のあるものと結びつく事によって、より成果があがるものではないかと思うようになりました。
もちろん、当院の他のドクターにも伝えていますよ。内容は企業秘密ですけどね(笑)。
やはり“患者様”と“スタッフ”、それに“経営者”のつながり(コミュニケーション)でしょうね。コーチング導入までも、患者様とスタッフ、患者様とドクターのコミュニケーションは取れていたと思います。それは最低条件で、それが無いと患者様はこないので(笑)。ですが、正直スタッフとのコミュニケーションには難しいものがありました。先ほどお話したように、どうしても経営者からの一方通行になりやすいのですよ。
ですが、家内が導入したコーチングを使った“個人ミーティング”や、“全体ミーティング”を行う事により、意思の疎通が出来るようになりました。最初は意見も出にくかったのですが、家内が上手く引出してくれて、最近ではシビアな意見も出るようになり、こちらが面食らう場面もあります(笑)。また、スタッフの苦労が分かるようになった点も大きいですね。消毒の流れ一つでも、やっている人にしか分からない点がある。こちらは消毒されたものが出てきて当たり前なわけですよ。ドクターと衛生士と受付、それぞれやる事が違うので、わかりづらいんですね。
こんな感じでスタッフのコミュニケーションを大事にしているのですが、最も大切なのは“どこの部署が欠けても、スタッフの誰が欠けても、ダメなんだ”というこちら側の姿勢・想いだと思います。みんな一人ひとりが大事な“人”ですから。
そうですね〜。やはり一番の変化は“スタッフの自主性”ですね。それぞれの部署が大変なわけです。受付では患者様との一言一言に気遣うことが必要ですし、衛生士は治療もすれば、裏方の仕事もある。そんな中で、それぞれが意見を出し合い、提案や改善をしていってくれる。何より、やる気になってくれていますね。
小さいことですと、受付のポップは一つ一つ考えて、手書きで書いてくれますし、患者様が手にするコップも可愛い柄のものを探してくれて、いつも変化します。定期診断に来てくださる方が増えたのも、彼女たちが心を込めてハガキを書いてくれるお陰だと思います。
そうなるとマンネリ化が無いんですよ。スタッフが誇りを持って、勉強し、自分でやろうと思ったことを取り入れていく。今、歯科衛生士の学校から実習生を2人受け入れているのですが、それも衛生士の人たちがきちんと面倒を見てくれています。大変だと思いますが、誰かに教えることは自分の勉強にもなりますしね。私も研修医から新鮮な質問を受ける事があり、初心に帰る機会を与えてもらっています。
そうして、スタッフが患者様としっかり会話している姿も見られますし、安心して見ていますね。
コムネットさんが行ったアンケートで“歯科医を選ぶポイント”は、“話を聞いて、しっかり説明してくれる”だそうです。ドクターももちろん、心がけていますが、受付や衛生士も患者様と関わる事が多いので、患者様に言われた事や感じた事などを、申し送りのためのノートを用意しています。また必要があれば、それぞれ患者様個々のカルテにも記入するようにしています。
実際は、褒められたことは書きづらいようで余り書いていませんが、クレームはきちんと書き入れてくれますね。
そうですね。治療をしなくなるかもしれませんね。機械もなくなる。今でも皆さんが歯を大切に考えるようになってきています。定期健診にきちんと来ていただいていれば虫歯になる事はありませんからね。
そうなると、私たちは予防の方法を伝えることで“より健康に!”、そうして審美歯科のように“より綺麗に!”という方向に進むと思っています。
いですよね〜。ずーと健康でいられるお手伝いが出来る。いい仕事だと思っています。
はい。是非、お勧めします。でも、遠くの歯科医院さんにね(笑)。
この近辺でも歯科医院は23〜24件あるんですよ〜。あまり近いとライバルですから(笑)。ですが、最近家内は他地域の歯科医院のコーチングを始めたようです。そうやってやる気のあるドクターとは一緒に勉強していきたいですよね。
*** おわり ***
実はまだまだ終わらない会話。ジャズのお話になると次から次へと続きます(笑)。
「これをオークションで手に入れた時は、本当に嬉しかった!」と満面の笑み。
「この部屋、新築の検査の時、歯科医院の施設ですって説明するの、かなり苦労しました。」と真剣な表情。
「そのカメラ、綺麗に撮れます?オークション用に買おうかな〜?」とおっしゃるのでカメラをお渡しすると、「うぁ!綺麗だ!」と驚きの顔。
「ゆくゆくは“歯科医師・ジャズ評論家”って肩書きがいいな〜」とまじめに語る松浦さん。
思わず、「歯科医ではなく、ジャズの道に進んでいたとしたらどうです?」と聞いてみました。
「いや〜、これは趣味だからいいって分かってますから(笑)」とのお返事。
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お気に入りのジャケット |
松浦さん撮影 |
診察室にあったCDラック |
そうして、このインタビューに是非聞きたいと思っていたこと、過去に受けた歯科治療で不安な点のご意見をいただきたくてお伺いすると・・「うーーん、ノーコメントでお願いします(苦笑)。」とやんわり非を指摘してくださる姿勢も、患者様が好感を持たれる一面を見た気がします。
今回のインタビューの中で、歯科医である自分、そしてその毎日が 「普通にいい感じ」 と表現されたのは、まさに“地域のホームドクター”を目指す松浦さんだからこそ、自然に口から出た言葉であり、その言葉が全てを表しているという印象を受けました。
今後も奥様との絶妙なコンビネーション、そしてスタッフの方々とのチームワークをパワーにして、ますます患者様に愛される歯科医院になられることでしょうね。楽しみにしております。ありがとうございました。
2006/6/22 取材